
オムツかぶれと皮膚カンジダ症について
要約
1 )オムツかぶれと皮膚カンジダ症は鑑別が難しい。
2 )オムツかぶれの薬を塗って悪くなったら皮膚カンジダ症の可能性がある。
3 )お腹・太もも・お尻の凸部に発赤があればオムツかぶれ、股の凹部にあれば皮膚 カンジダ症。
4 )オムツを取り替える時は濡れたタオルでよく拭いて乾燥させてから替える。清潔 と乾燥がポイント。
5 )オムツの辺縁部がかぶれる場合は紙オムツの素材にかぶれている可能性あり。メ ーカーを変えてみる。
はじめに
赤ちゃんのオムツ部にみられる赤い湿疹様のものはオムツかぶれの他にカンジダ菌という真菌(カビ)の一種の感染症もあります。この2つの病気は鑑別が難しいためかヴェテランの小児科の先生でもよく間違えられるらしく、私共の所へお母さん方が赤ちゃんを連れてこられてこうおっしゃいます。「オムツかぶれと言われて薬をもらったがだんだんひどくなってきました。」我々皮膚科専門医はこういうお母さん方の話を聞いただけで(診察をする前から)皮膚カンジダ症ではないかと見当をつけております。
治療法から言えばオムツかぶれと皮膚カンジダ症は全く正反対であるため皮膚カンジダ症にオムツかぶれの薬(ステロイド系・非ステロイド系の湿疹用外用薬)を塗ると悪くなりますし、オムツかぶれにカンジダ症の薬(抗真菌剤)を塗ると悪くなります。
鑑別点
オムツかぶれの場合には赤ちゃんのオムツが当たっている皮膚のうち凸面(お腹・太もも・お尻)部分にだけ赤い発疹ができ、凹部分(お腹と太ももの間のくびれた所=股等)には発疹は見られません。逆にカンジダ症の場合には凹部分に発赤があり、皮屑(皮膚表面がめくれた状態)がみられます。そしてこの皮屑を採取して顕微鏡で検査するとカンジダ菌が検出でき確定診断ができます。このポイントを知っていれば診断をつける事はさほど難しくはありません。
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